着物の種類 作家物って何?キワドイ話

辻が花は、世界的に有名な本物の作家物ですが、

2016-05-18 16.13.02

作家物は高い?

着物の世界では、作家物というキーワードがあリます。

このキーワードは大変便利で、
この言葉だけで値段が高い理由になります。

全ての着物屋ではないと思いますが、
多くの着物屋が「作家物だから高い」と
一言で値段が高い事を正当化します。

誰も知らない作家まで、有名作家と呼ばれ、
高い値段が付けられてる物もあリます。

34年前、作家物は一般的ではなかった

私は、この業界に34年いますが
昔は、作家物というのはあまり聞いたことがなかったですね。

当時も人間国宝や素晴らしい作家さんはいたと思いますが、
庶民の着物屋にはそのような商品はありません。

しいて言えば、
フランソワーズ・モレシャンなどデザイナーの商品が人気になりました。
付け下げや振袖でよく売れましたね。

私の初めての作家物「和田光正」

デザイナー以外では、
和田光正さんが金彩友禅で大人気になりました。
和田光正さんは、金箔の職人から有名作家になり、
「京の名工」を受賞しました。

和田さんとは一緒にお酒も飲みましたが、
気持ちが熱い素晴らしい作家さんです。

作家ブーム、職人さんが作家先生

それから、30年位前に作家ブームのようになり、
職人さんが作家と呼ばれるようになりました。

その作家さんのメインの仕事は、
展示会や店舗の企画でお客様に販売することです。

毎週のように全国の着物屋で販売会をしている作家もいるようです。

一体いつ物づくりしているの?という感じです。

作家の3つのパターン

  1. 人間国宝や久保田一竹さんのように世間で認められている作家
  2. 職人さんが問屋などに担ぎあげられて作家に
  3. 販売が上手な職人、もしくはセーラー

1は、誰もが認める作家です。
値段が高いのも仕方がないです。

2は、素朴な職人さんが多いです。
伝統工芸士も多く、作家といっても問題無いですが、
1と比べるとそれほどでもないひとが多いですね。
職人さんですから、格が違う感じはあります。
また、全国区ではないので、その着物屋さんでは有名だけど、
他の着物屋さんでは聞いたこともないような作家も多いですね。

このレベルの作家は、物づくりに一生懸命な人と
売上作りに一生懸命な人がいます。
過去は売上作りに一生懸命な人も多かったですが、
今は着物が売れない時代ですから、
真面目で一生懸命な職人さん、作家さんが多いですね。

私は、人を騙したり、誤魔化すことが大嫌いなので、
物づくりに一生懸命な方の商品だけお客様に紹介します。

3は、今も多いと思います。
若いイケメンだったり、口が上手いオジサンだったり、
いろいろです。
ひどい場合は、元問屋の営業社員が作家になっているなんて事もあるらしいですね。
売れる人ならなんでも良いような感じです。
私は、もちろんこんな人の商品は販売しませんし、
お付き合いもしません。

お客様がその作家のキャラクターを含めて気に入って買うなら
良いと思います。
その商品を作った作家から勧められるというのも、大きな購入理由ですからね。
お客様は、気に入って買ってくれるなら、良いんです。

でも、私は、販売する人として、コンプライアンスの意識を持ち、
嘘やごまかしがない姿勢で大事なお客様にお勧めします。

それで売れなければ、それで良いです。

作家物の価値と価格

大した作家じゃなくても、商品のみの価値で考えたら値段が高いですね。

特に、展示会は作家自身が一日接客するので、自分の日当を含めてお金が掛かります。
そのため、どうしても価格が高くなります。

そして、自分の商品で相場がないから、値段はつけ放題です。

販売力があって売れている作家さんの中には、驚くほど高く値段をつけている人がいます

値段が高い理由

  1. 作家自身が高い値段をつけています。
  2. 高額な商品が売れそうになるとすぐに値引きします。
    そんなに値引きするの?正札って何?と思いますよ。

  3. 問屋が高い値段をつけています
  4. 大手の問屋でも、驚くほど高くつけている会社がありますね。
    作家さんや織元さんが愚痴をこぼします。
    自分の商品の原価や卸値を知っていますから、
    憤りを感じている作家さんもいますね。

  5. 販売会社が高くしています
  6. 展示会は経費もかかるので、粗利を高くします。
    また、高額品は値引きが絡むので、粗利を高くします。
    店頭で販売している商品でも、粗利が高いお店もありますね。

作家物の値段が高い理由は、三つありますが、全てが絡むと大変な価格になりますね。

本音でお話していますが、これはあくまでも私の考えです。
全ての着物屋さんがそのようなことではないと思いますので、
ご注意してくださいね。

ちなみに、私が信頼している作家さんは、
灰汁発酵建ての本藍染めの中西さん、大西さん
小千谷紬くるまやの高橋さん
大島紬の恵積五郎さん(もう引退しましたね)
江戸小紋、群馬県の藍田正雄さん
加賀友禅の作家さんは皆さん素晴らしいですね。
能州紬の関係者(洋山先生はお亡くなりになりましたね)
結城紬の井上社長、小倉商店
その他まだまだ素晴らしい先生や職人さんはいると思います。
私のお付き合いの範囲なので、狭い世界です。

基本的に、着物の職人さんは、真面目で一生懸命です。
お話しをしているだけで感動します。

もっと着物が売れるようになって、
作家の皆さんに喜んで欲しいと思いますね。

何か質問や疑問があればお問合せくださいね。