着物販売会 騙されないでください!
販売会や展示会は要注意
今回は、今日実際あった販売会でのことをお話しますね。
最近着物を買っていただいたすごく性格の良いお客さまのお話です。
無料の着付け教室で習っているのでクリーニングもチョコチョコ持ってきています。
今日持ってきた着物は、その無料着付教室のセミナーで買った夏大島紬でした。
奄美からきた先生のセミナーを受けた後、販売会で薦められて買ったそうです。
「この着物は貴女しか似合わない、貴女のためにある着物だ!」と言われて強引に薦められたと言っていました。
無料着付け教室のセミナーは強引な販売方法といい加減なセールストークについてネットでも散見しますね。
お客様の話を聞くと、販売員のトークにいくつか嘘があったので驚きました。
販売する人の勘違いかもしれませんが、間違った情報を伝えるのは問題ですね。
大島紬のマルキの説明
「大島はマルキで値段が違うが、その違いはプロでも分からないので関係ないですよ。」と言われたらしいです。
これは、問題ありですね。マルキの違いは素人でも分かるし、大島の価格を最も左右する関係があります。
大島は、5マルキ、7マルキ、9マルキ、12マルキ、今では、15マルキ、18マルキもあります。
マルキの違いはプロはもちろん、素人でも少し見慣れたら判断できます。
マルキというのは、一元の大島紬の絣を構成している糸の数で、80本で1マルキになります。
9マルキであれば720本が絣糸です。
今は、カタスが多いので、絣糸の数は一元の半分になります。
カタスはTの字、一元は十字絣なので、その違いも見れば分かります。
最近の大島紬は一反に経糸が15.5算(よみ)といい1算80本なので1,240本で構成されています。
耳が両方で80本ありますので、1,160本です。
一元の9マルキだと絣糸720本/1160本になります。
基本的に大島の値段は、マルキで違います。
ざっくり言うと、5マルキ一元が20万なら、7マルキ片スは30万、
9マルキは、40万、12マルキは一気に上がって60万以上という感じです。
お店によっては、もっと差があるかもしれません。
田中一村氏について
お客様がお持ちになった夏大島は、見たことがない色柄の夏大島でした。
奄美大島の田中一村の作品と言われて買ったそうです。
色は、明るいグリーンで変わり格子のような変わった柄でしたが、単調な柄です。
光沢があるツルツルした生地なので横惣かと思いましたが、ルーペーで見たら縦横でしたね。
都喜ヱ門の大島紬のような生地でしたね。
「これは田中一村の作品です。だから、こんなに綺麗な色なんです。」と言われたらしいです。
でも、田中一村氏の絵を図案にした大島紬は絵画的な柄ばかりなので、
変わり格子の図案が田中一村氏というのは信じられませんね。
田中一村氏は、1977年に死去されています。
生前は全く無名で、死後7年経った頃にNHKの番組で紹介されて火がついたようです。
その後、日本のゴーギャンと呼ばれさらに人気になり、
2001年奄美パークの一角に「田中一村記念美術館」がオープンしました。
ですから、田中一村氏が大島の図案を製作したことはありません。
没後、田中一村氏の絵画をモチーフに大島の柄を製作した商品かもしれません。
しかし、例えば、東山魁夷氏の北山杉の図案で作った大島紬を東山魁夷氏の作品とは言わないですよね。
変わり格子の柄が田中一村氏の絵画を図案化した大島かどうかも怪しいですが、
例えそうだとしても田中一村氏の作品と言うのはおかしいですよね。
田中一村氏の絵画を図案化した大島紬です。
リサイクルなので85,800円(税込)です。
興味がある方は、写真をクリックして商品情報をご覧くださいませ。
大島紬の恵織物について
ホンジャマカの恵俊彰さん、今はMCで活躍されていますが、お父さんは大島紬の織元の代表です。
私は、何度もお会いしていますし、鹿児島で一緒にお酒を飲んだことも何回もあリます。
恵さんについてその先生は、「ホンジャマカの恵さんのお父さんは、大島紬の作家で奄美に住んでいる。」と言ったそうです。
恵さんは、鹿児島で大島紬を作っていました。息子さんの俊彰さんが跡を継がなかったので引退しましたね。
恵さんは、鹿児島では基本的に泥染めが出来ないので、「白恵泥大島」」という商品を開発しました。
白薩摩という陶器の原料になる粘土状の泥で染めた大島紬です。
通常の白大島と違い、泥染めによって柔らかくしなやかになります。
大変着心地が良く、色も柔らかい白色になります。
白恵大島紬以外も12マルキ、一方付け付下げ模様の大島紬、
100以上の柄を織り込んだ大島紬など素晴らしい作品を数多く作っています。
恵織物の大島紬です。
白恵泥大島紬の反物です。495,000円です。
興味がある方は、写真をクリックして商品情報をご覧くださいませ。
恵織物の作品です。239,800円です。
世界的に有名な宮田雅之氏の切り絵のわらべを図案にした一方付け大島紬です。
このことに関しては、間違った情報を聞いても被害はありませんが、いい加減にして欲しい感じですね。
先生と呼ばれる販売員
私の想像ですが、その先生というのは口が上手く販売力があるメーカーの社員か問屋の販売員だと思います。
メーカーの社員や問屋の販売員は、その商品についてはよく知っていて、
作家でもないのに先生と呼ばれています。
また、その場だけの関係なので、大げさな過大広告やオーバートークはよくあります。
ともかく、その場で売れれば良いのですから、後のことは考えずに売りつけますよね。
購入した夏大島も「高かったのよ~」と言っていましたので、50万位したのではないかと思います。
もしそうだとしたら、おそらく市場価格よりかなり高く買っていますね。
こんな話は、例の無料着付け教室だけでなく、他の着物屋さんや着付教室でもある話です。
ネットで「無料着付け教室 クーリングオフ」で検索したら、驚く記事がありました。
無料着付け教室のセミナーで、作家の方が半巾帯を「この帯は訪問着でも出来る」と勧めたとありました。
素人のお客様でも、この話はおかしいと重い、クーリングオフしたらしいですね。
買う側がきちんと対応しないと騙されます。
着物は、信用できるお店で買いましょう。
不安があったら
不安があったらクーリングオフしてくださいね。
例の無料着付け教室、その他の着付教室なら、当日を含めて8日以内にクーリングオフをしてください。
着物屋さんの店内以外で購入した場合はクーリングオフが出来ます。
いまだに、「白生地をタダで上げます。でも、染めと仕立ては当店で!」
「 100万の帯が50万円です。 しかも帯を買うと着物がプレゼントになります。」
こんな詐欺まがいの商売も実際あリます。
絶対にこんなお店で買わないでくださいね。
最後に
騙されないために大事なことは、まずお店を選ぶことです。
不安があったら、ネットで「その会社名 クレーム」などと検索して口コミを見てください。
展示会や店外の販売会で購入した場合は、クーリングオフで返品してください。
貴女の着物ライフがよりハッピーになることを願っています。
それでは、またお会いしましょうね😁