着物の種類 辻が花
今回は、着物の種類で「辻が花」についてお話しますね。
辻が花といえば、久保田一竹さんが有名ですが、
実は室町時代にあった絞りを使った柄です。
目次
幻の柄「辻が花」
江戸時代初期に突然消えてしまった辻が花。
辻が花という柄は、室町時代から江戸時代初期に存在した絞りを用いた花柄と言われています。
なぜ、江戸時代初期に辻が花は消えてしまったのか?
はっきりした事は分かりませんが、
友禅の柄が人気になった事が理由だと思います。
つまり、古典柄である辻が花より、江戸時代に始まった手書き友禅に人気が移り、
辻が花を作る人がいなくったのでは、と思いますね。
久保田一竹について
久保田一竹さんは、二十歳の時にその当時の辻が花の布を美術館で見て、その美しさに心を惹かれたそうです。
その後、戦争があり、終戦後シベリア抑留、31歳で復員しました。
すぐにでも、辻が花の研究をしたいが、まず生活費のために友禅の着物を制作し貯蓄したそうです。
40歳でようやくお金が貯まったので、辻が花の研究に没頭します。
しかし、その作品が世にでるまで20年の歳月を用しました。
その間、貯蓄していお金も無くなり、収入がないので、極貧の状態だったそうです。
一竹先生本人からお聞きしましたが、
子供の給食費も染料代にしてしまったと言っていました。
そんな苦労を20年重ね、一竹先生が60歳の時1977年に第1回の個展で発表した
「一竹辻が花」は国内のみならず海外からも高い評価を得ました。
その後は、世界中の方が一竹辻が花の美しさ、芸術性に魅了されました。
着物の柄 「辻が花」
着物業界でも、その後「辻が花」の振袖や訪問着が
雨後の竹の子のようにドンドン出てきました。
新潟県十日町の絞りの多かったですが、
絞りを使用していない柄や絞り風の柄もありました。
ともかく、どこのお店に行っても、辻が花の着物があるようなブームもありました。
今では、辻が花は、一つの柄として認知されています。
久保田一竹辻が花について
その中で、一竹辻が花は生地や絞り、染色の技術など他の辻が花とは別格で今でも大人気です。
初代の一竹先生とは、何度もお話しをしたことがありますし、
講演でも苦労話をいろいろお聞きしました。
「命を染めし、一竹辻が花」という本も出していますが、
40歳から60歳の20年間、毎日失敗の連続、でも諦めず、
辻が花をこの世に蘇らせることだけ考えて、生きてきたそうです。
そして、20年間経って、
やっと満足する辻が花が出来た時「これだ!」と叫んだそうですね。
一竹先生は、残念ながら13年前に85歳でお亡くなりになりましたが、
息子さんが二代目として、お父様の技術を継承し、作品、商品を発表、販売しています。
二代目久保田一竹について
商品としては、二代目一竹先生の辻が花は買いやすいお値段になっています。
二代目一竹先生は、もっと多くの人に一竹辻が花を着ていただきたい、という気持ちが強いそうですね。
でも、決して手を抜いた商品でなく、生地も技法も初代の一竹先生とほとんど変わりがありません。
今回の展示会では、初代一竹先生の作品集の中から、
今まで二代目が作ったことがない柄を復刻版として発表していましたね。
特別ご奉仕品で
辻が花の訪問着と袋帯の2点お仕立て上がり100万円(税別)で発表していました。
着物はもちろん辻が花の絞り柄が前身頃に入っています。
コーディネートの帯もお太鼓に辻が花の絞り柄が入っています。
このコーディネートでお召になったら、見る人が皆さん振り返ると思います。
それだけ素晴らしいコーディネートです。
初代の商品だったら、500万~800万くらいですね。
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初代一竹辻が花について
23年前から18年位前までだったと思いますが、色無地で100万円、
一竹先生のオーロラぼかしという辻が花がない訪問着で230万円です。
そして、辻が花が一つあると100万円と言われていました。
つまり、オーロラぼかしに辻が花が3つあると500万円位ですね。
帯の値段も高くて、ぼかしで100万円、辻が花が一つあると100万円です。
ですから、辻が花がお太鼓に2つあって、腹紋はぼかしの帯なら300万円ですね。
ちょっとお太鼓に辻が花のボリュームがあると500万円位でしたね。
当時は、一竹先生も、帯のコーディネートについては、
「私の帯が無理なら【佐波理綴れ】の帯を締めてください。」と
言っておられましたね。
その頃、佐波理綴れは100万円~150万円で、
一竹先生の帯よりも手頃な価格でしたから。
一竹先生が70代の頃は展示会にもお見立てで参加されていたので、
一緒に接客もしていただきました。
情熱的で、オーラーがあり素晴らしい先生でした。
初代一竹先生に感謝を込めて
一竹先生が20年の歳月を掛け、辻が花を現代に蘇らせたことで
人々は辻が花という柄を知り、そして着物として着ることができました。
また、世界中の人が一竹辻が花という芸術作品を鑑賞し、感動することが出来ました。
着物の制作技術、芸術性を世界に広めた功績は大変大きいと思います。
初代一竹先生には感謝し、尊敬いたします。
辻が花は私の大好きな着物です。
何か質問や疑問があればお問合せくださいね。