後悔しない着物買い方を教えます(その2)
目次
後悔しないために 認知的不協和とは
人は、高額な商品を購入した時に、その選択が間違いなかったという確信を持つために
いろいろ情報を集めるという行為をすることがあります。
認知的不協和という心理です。
認知的不協和は着物の場合もあります。
私のお店にもたまにそういう目的のお客様が来ます。
結構な割合で、「高い買い物だった」「こちらのほうが良かった」などとガッカリしています。
その時は、「きものは値段相応だから、きっと良いお品を買われたのですよ」と慰めます。
着物の場合は、「電化製品のように全く同じ商品が安く売っていた」というような事は
めったに無いので納得します。
着物の買い物に失敗はつきものですが、出来れば後悔しない買い物がしたいですよね。
どうしても返品したい場合は、クーリングオフがあるかどうか伝票などを確認し、
可能なら思い切って返品の電話をしましょう。
今回は、まず、着物の値段のカラクリを少しお話します。
着物は、アパレルや家電などと違い、複雑な流通経路で販売させれています。
一般的には、零細メーカー⇒産地問屋⇒前売り問屋⇒小売店という流れです。
さらに、産地問屋に商品がなかった場合は他の産地問屋から仕入れるため、
産地問屋⇒産地問屋⇒前売り問屋というような場合もありますし、
もっと複雑に幾つもの問屋を通って小売店にいく場合もあります。
この流通の複雑さによって価格が高騰するのです。
そして最近の小売店は、在庫リスクを避けるため、
委託販売という方法が増えています。
これは、100反借りて、10反売れたら、売れた分だけ仕入れて、残りの90反は返すという方法です。
小売店には全くリスクはありません。
そうすると、問屋としてもリスクがあるので、損をしないように高く卸します。
この委託販売によってさらに商品価格が高騰します。
委託販売が業界に与えるデメリットは、価格以外にも、バイヤーが商品を選ぶ際に責任感が薄くなります。
売れなければ返せば良いのですから、仕入の失敗や在庫リスクはありません。
問屋から提案された商品をとりあえず委託で仕入れて、店に出して売れなかったら返す、
こんな無責任な事をしているから、バイヤーも無能になり、ヒット商品も出ないのだと思います。
このリスクがない販売方法が、呉服業界の最大のリスクですね。
今は着物が売れない時代ですから、
小売店としても利益を確保するために、粗利益をあげています。
昔なら、粗利率は50%~55%位でしたが、今はお店によっては70%~80%以上もあるそうです。
10万円で仕入れた商品を50万円で販売するわけです。
問屋も小売店も、仕入れ価格に規定の利益を乗せて販売価格を決めます。
ですから、原価が安くても、複雑な仕入れルートで高く仕入れた商品は更に高く売られます。
本当にあった話です
私が38万円で販売した帯と同じ商品が、ネットで58,000円で販売されていました。
全く同じ帯です。
もちろんクレームになり返品になりました。
問屋の話では、「メーカーのB反がネットで売られた」と言っており、
その商品はすぐにネットから削除されていました。
しかし、ネットで売られていた商品にはB反とか難有りなど一言も記載されていなかったですね。
逆の事もけっこうあります。
私のお店で、30万で販売している紬と同等の商品が他店で60万で売っていたとか、
10万円の付け下げと同等の商品が30万円で売っていた、という事もあリました。
お店それぞれに得意な商品や安く仕入れられた商品がありますので、
今の時代はそれを見極める目利きが必要ですね。
ですから、私自身も自分が納得できる商品しかオススメしません。
商品部や問屋は何のリスクも負いません。
信用を無くすのはお店であり、店長です。
せっかく着物を着ようと思う人に、後悔するような買い物はして欲しくないですね。
本題の「似たような商品が他で高く売っていた」と後悔しないポイント
買う前に、3店舗以上廻ってみる。
やはり、1店舗で決めるのは危険です。
信用できるお店があれば良いですが。
無理に勧められても断る勇気が必要です。
値引き額ではなく、最終的な価格で考える。
3割引きとか半額とか割引率ではなく、
着物であればお仕立て代も含め出来上がり価格で考える。
反物価格が安くても、仕立て代、裏地代がバカ高いお店があリますので、
注意してください。
そもそも、まともなお店で、電卓を叩いて、
「3割引き」「半額」等ということはありません。
最初の値札が相当高いのだと思います。
その商品が高い商品だということをきちんと説明できれば別ですが。
商品だけでなく、サービスやアフターフォローも考える。
着物を着た後のクリーニングが安かったり、
着付けを無料でやってくれたりするサービスが有るお店もあリます。
私のお店は、購入した着物に関しての着付けは永遠無料でやります。
10回着たら7~8万円浮きますね。
また、お店によっては、無料や安価で着付けを教えてくれるサービスなどもあります。
着物は一度買ったら長いお付き合いになるので、アフターフォローやサービスも大事ですね。
安く買いたいなら、ネットショップも候補にする。
しかし、リスクはあリますので、口コミなどでお店の信用度を確かめてください。
ネットショップでも良い商品を安く売っているお店もあるし、
粗悪品を売っているお店もあリます。
リスク覚悟で購入するか、一切見ないか、ですね。
店長や担当者との相性や信頼度が大事です。
相性が良く、信頼できる人、お店なら、任せたら良いと思います。
信用して、他のお店やネットを見ないことですね。
最後に
高級品を望むなら、百貨店が一番安心ですね。
でも、そうじゃなくてなるべく安くて良い物を望むのなら、
ある程度予算を決めて、数店舗廻ってみることをオススメします。
そこで気に入った着物があれば、見積もりを出してもらう。
割引率ではなく、決定価格で考える。
値段だけでなく、購入後のサービスなども考慮し決定する。
そんな感じで後悔しない買い物をしてくださいね。
何か質問や疑問があればお問合せくださいね。